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さて、お肉を焼いている最中に縮んだり、香ばしいにおいを発していることはありませんか?
においにおいては、とくにあると思います。「においがついて嫌だから家では肉を焼かない!」なんて思う家庭があるかと思います。
お肉は、焼く、蒸す、煮る、揚げることによって肉質だけでなく調理によって様々な変化をもたらしています。その変化において特に知っておきたい栄養価の変化です。
お肉といえど生の状態で食べる人はあまりいないのではとおもいますが、生肉の状態ですと栄養価は優れています。しかし、調理によって栄養価の減少傾向にみまわれることもあります。
ですから、栄養価を充分に摂取をするためにはどのような変化をするのか知っておかなければならないと思います。
この記事は、以下のようなことがわかります。
- 調理による栄養の変化。
- 部位ごとによるカロリーの変化。
- 脂質と水分の変化によってどのような調理が太らないようになるのか。
- ビタミンやミネラルは調理によって極端に摂取量が変わる。
- ダイエットにむいている調理法がわかる。
以上から成分表をみながら解説していきます。
お肉は、調理によって栄養価が変化するため目的に応じた料理の仕方が必要です
人間にとって必要なたんぱく源であるとともに目的に応じた調理をしないと充分な栄養価が摂取ができません。例えば、お肉は食べたいけどダイエットもしたい!どのような調理をしたらいいのか?
順を追って記載していきます。
調理による栄養成分変化
一つの分析表をご覧ください。

この分析データは生肉100gを加熱した場合、その加熱後の肉中の栄養成分を示した点が、実用的と評価される点です。普通、生肉100gを加熱すると、肉汁(脂肪も含む)が流れ出てしまいますので、加熱後の重さは、70%~80%に減少します。それ(加熱した肉)を試料として栄養成分を定量すると、加熱した肉100gあたりの含有量になりますから、生肉としてはgの肉のエネルギーと主要な栄養素の分析結果を示してあります。
各部位の生肉100gあたりのエネルギー、タンパク質、脂質、コレステロール含有量を100%として、生肉100gを加熱した後の肉に含まれる成分量を割合(%)で示してあります。

脂肪と水分の変化
乾式加熱法(水を加えずに加熱する)の放射熱を熱媒体とする網焼きで比較しますと、薄切りの方が厚切りよりエネルギー、脂質、コレステロールの減少割合が高い傾向がみられます。
この傾向は、カタロース、ヒレ、ばら肉で明確で、もも肉は厚切りの方が薄切りより高いという逆の結果でした。この理由は、高温加熱による肉汁の流出が著しいものと思われます。
牛脂を用いるフライパン焼きでは、前の結果とは逆で、厚切りの方が薄切りより減少割合が高くなりました。厚切りの方が加熱時間が長くなるため、肉汁などの流出が大きくなるためと思います。
大量の油の中で加熱する揚げ物の場合、片栗粉を付けて揚げるから揚げ、水溶き小麦粉を付けて揚げる衣揚げを比較しますと、本来は肉の形態が同じならば、衣揚げの方が肉の保水性が保持されるはずです。
ところが、から揚げの肉が角切りのため、薄切りの衣揚げの方が油と接する表面積が大きくなります。また、脱水や脂肪が溶け出すため、そこに揚げ油が入り込み、水と油の交代が起こります。
水分が減少した分、脂肪が増加し、その結果エネルギーと脂質の摂取量が増すことになります。
湿式加熱のゆでる(薄切り)は数秒加熱、ゆでる(ブロック)は十数分加熱、煮込み(角切り)は90分加熱と肉の形態と加熱時間の差異を含む比較になります。
脂質の減少がいずれの部位でも著しく、特に90分も煮込むと組織がほぐれやすくなり、膨潤した組織に水分を抱え込むため、重量の増加があらわれています。
ビタミン・ミネラルの変化
栄養成分のミネラルについての変化は、生肉100gを加熱した場合で比較しますと、牛肉、豚肉ともに煮込むとカルシウム値が1.5~1.8倍を示しました。リンやナトリウム、カリウムでは、ゆでたり、衣揚げにしたりすると、著しく減少しますが、鉄分は衣揚げやゆでることで減ります。
ほかの調理法では変動が小さく、豚肉ではどの調理法でも半分程度かそれ以下に減る傾向を示しています。
ビタミンについては、部位別・調理法別も可食部100g中のレチノール、A効力、B1、B2、ナイアシン含量を示しています。
生肉中のビタミンは、豚肉のB1は牛肉の10倍強含有しています。また、B2が両者とも0.2g程度含まれていることが特徴的で、調理による変化は両者は類似しています。
これらのビタミンは、網焼き、フライパン焼きという焼き物調理では、それほど変化しません。ビタミンB1はアルカリ性で長時間加熱したり、リノール油を使う煮込みや衣揚げでは半分かそれ以下になります。
ビタミンB2はゆでたり衣揚げにすると2/3前後に減り、そのほかの調理法ではそれほど変化しません。

まとめ
- 生肉は水分の少ない部位ほど脂質含有量が大きく、脂質の多い順では、ばら、カタロース、ヒレ、もも肉になります。
- 加熱後の変化の少ない成分はたんぱく質と炭水化物といえます。加熱変性し、収縮凝固するためです。
- 網焼きする場合、ダイエット志向であるならば、厚切りより薄切りの方が重量減少率が高く、カタロース、ヒレ、ばら肉ではその目的に適しているといえます。
- 牛脂を使うフライパン焼きでは、先ほどの結果と逆で、厚切りの方が薄切りよりダイエットな調理法といえます。
- 揚げるのは、脱水が著しく、水と油の交代が盛んなため、脂質が生肉の脂質含有量の1.5倍となります。当然のことですが、エネルギーがもも肉では10%前後、ヒレ肉では50%近く増加します。
- 湿式加熱法(ゆでる)では、薄切りがブロック肉に比べ短時間加熱にもかかわらず、脱しされて低エネルギー食材となります。
- 煮込み料理では、加熱後重量は増加するものの、生肉に比べ加熱肉中の脂肪は減少しています。しかし、肉質が軟化し、ほぐれやすく膨潤した筋肉組織の間に、煮汁に流出した油脂も共存しています。このため、短時間ゆでたものに比べ、脂質含量は高い傾向を示しています。
- 水溶性ビタミン・ミネラルは湿式加熱より減少する傾向が見られます。豚肉についても、同様な傾向を示しています。(表から)
以上から、各部位などの分析から調理によっては、栄養価が変化することがわかりましたが、食物繊維を含まず、豚肉のビタミンを除いて、ビタミンCやそのほかのビタミン。鉄以外のミネラルも低いようですので、食物との食べ合わせが大切です。
ただ、個人的に思う事は、お肉は(フライパン焼きでは)厚切りがよい。厚切りがうまいとされるのは、良い意味でよかったのではないかと思います。